夫の実家が青森で、いつの間にか青森探索の達人になったライターのmegdigです♪
下北半島って、すっごく遠いしついでで行ける所でもないし、正直に言ってどこからも行きやすい場所ではないですよね。
わたしも帰省のたびに、その時間的な距離感を痛感します。
だって、札幌や福岡に行くよりも時間がかかるんですよ。
そんな「最果ての地」と言うにふさわしい下北半島ですが、前回は「もし行くなら、まずはココ!」というスポットを、
この記事の中でご紹介させていただきました。
今回はもう少しディープなスポットを、千葉生まれ埼玉育ちのくせにむつ出身の相棒と共に毎年帰省する地元民ならではの視点でご案内します。
みなさんのお好みにあったスポットがあれば、ぜひ行ってみてくださいね。
目次
1.温泉好きのみなさん! 最果ての秘湯はいかが?
恐山をはじめ、下北半島にはそっちこっちに温泉があります。
でも、あんまり温泉地として開発されている場所は多くはありません。
その中で、温泉でノンビリして美味いものを食べて宿泊してということができる場所で、かつ、日帰り利用も可能な代表的な2つの温泉をご案内します。
1.薬研温泉
下北半島で秘湯の気配が満載で、かつ、日帰り温泉としても利用しやすいのは、何と言っても薬研温泉(薬研温泉)です。
大畑川に沿って原生林の中にある温泉は、野趣満点です。
宿泊できる宿は現在では3軒となってしまいましたが、おすすめの日帰り露天風呂が2つあります。
かっぱの湯と夫婦かっぱの湯です。
かっぱの湯の名前の由来は、恐山を開山した円仁(慈覚大師とも言い、最澄の弟子)が大けがをした時に河童に助けられて連れてこられた温泉がココだった、ということだそうです。
かっぱの湯は以前は混浴でしたが、現在は入浴時間を男女に分けて交互に利用することができます。
入浴料金はうれしい無料です。
でも、ご夫婦や家族連れで行った場合、同じタイミングで入浴できないのが不便ですよね。
そんな時には、夫婦かっぱの湯を利用しましょう。
料金は230円ですが、お風呂は男女別になっているので同時に入浴することができます。
脱衣場に入るとドドーンといきなり露天風呂が見渡せます。
っていうか、露天風呂しかありません。
シャワーなんてありません。ただ、川沿いに見晴らしの良い湯船があるだけです。逆に、何も無いことが最大の魅力です。
こちらは奥薬研レストハウスが併設されているので、食事はもちろん、湯上りに魅力的なビールもいただけます。
★温泉データ
- 泉熱/46度
- 泉質/単純泉
- 効能/神経痛、リュウマチ、皮膚病等、など
- JR下北駅より車で約1時間 または、むつバスターミナルから大畑バスターミナルまで バスで約30分
- 大畑バスターミナルから車で11分(大畑バスターミナルにはタクシーがいつも停まっていますよ)
2.下風呂温泉
津軽海峡に面した港町にあり、小説のモデルにもなった昔ながらの温泉街です。
井上靖が昭和33年にココで小説「海峡」を執筆し、その作品の舞台にもなっています。
中でも、長谷旅館は海峡の宿として知られています(ただし、現在休業中です)。
山を背にして眼前には津軽海峡が広がり、イカ釣り漁船のいさり火が輝く様は、昔も今も変わることはありません。
美味しい海の幸を堪能するなら、ココに宿泊するのもオススメです。イカもアンコウも美味しいですよ。
日帰り入浴なら、公衆浴場の大湯、新湯がいいですね。
昔の銭湯の風情をそのままに、源泉かけ流しの熱いお湯を楽しんでみてください。
★温泉データ
- 泉温/約60~90度
- 泉質/硫黄泉
- 効能/高血圧症、創傷、リュウマチ性疾患、婦人病等
JR下北駅より車で約50分 または
JR下北駅より「下風呂」まで バスで約70分
今回ご紹介した他にも、下北半島にはまだまだいくつもの温泉があります。
以下は、日帰り入浴施設がある温泉の一部です。
- 桑畑温泉
下風呂温泉から国道279号沿いに大間に向かって行きます。津軽海峡を見ながら、露天風呂に入れます。
- 湯野川温泉
水上勉原作の映画「飢餓海峡」のロケ地でした。山の中の秘湯といった風情です。ヒーリング効果抜群です。
- 大間温泉
海峡保養センターで日帰り入浴ができます。浴室がやたら広いのでビックリです。
もっとマイナーな温泉や宿泊に興味のある方は、東北の食と旅とこころで検索してみてくださいね。
2.ダムファン必見! 日本最古のアーチ式ダムの水源地公園と川内ダム
1.水源地公園
水源地公園は、正式名称を旧海軍大湊要港部水源地堰堤(きゅう かいぐんおおみなとようこうぶすいげんちえんてい)と言い、ダム自体は明治43年に作られた日本最古の重力アーチ式ダムで、終戦までは旧海軍大湊の重要な水源として整備されました。
石積み風に作られた堰堤の美しさは、なかなかなものです。
公園内は、海軍の施設だった頃に整備されたという桜がたくさん植えられており、お花見にもいいです。
JR大湊駅より車で約10分 または
JR大湊駅より「宇田」までバスで約10分 バス停より徒歩10分
2.川内ダム
川内ダムは、本州最北のダムです。
しかも、ダムマニアのみなさんに朗報です。
2014年7月よりダムカードが配布されるようになりました。
配布場所は隣接する川内ダム管理所です。行ったら忘れずにGETしてくださいね。
型式は重力式コンクリートで、洪水調節と河川環境保全等のための河川流量の確保を目的として建設され、1993年に完成しました。
ダム湖であるかわうち湖はダム湖百選にも選ばれており、湖畔には道の駅かわうち湖があります。
ドライブ中のひとやすみにはもってこいです。
ダム湖には噴水が設置されているので、キラキラと虹が見えることがあります。
3.鉄道好きにおすすめ! 現役ローカル線、廃線、計画線の揃い踏み!
1.大湊線(現役ローカル線)
基本的に1日に9往復運転されており、特定日には快速リゾートあすなろが追加で2往復運転されています。
JRですが、自社の路線と一切接続しない完全な飛び地路線です。
JRの飛び地路線は、全国で2か所しかありません(大湊線の他には、JR西日本の七尾線が該当します)。
下北駅は、本州最北の駅が売り文句です。
ワンマン運転で、陸奥湾に沿って1両または2両編成で走ります。できれば海側に座って、車窓をゆっくり楽しんでください。
鏡のように輝くベタなぎの陸奥湾の向うに、行きは釜臥山が、帰りは八甲田の山々が見えますよ。
2.大畑線(廃線)
大湊線下北駅から大畑駅まで、2001年3月31日まで運転されていた路線です。
1939年12月6日に大畑線下北 – 大畑間が開業しましたが、1985年7月1日 国鉄大畑線が廃止され、下北交通に転換しました。
その後、2001年まで地元の足として頑張ってきました。
現在、その大畑線を見られるのは旧大畑駅です。
下北交通のバスターミナルとタクシー乗り場となっていますが、駅舎はそのまま利用されています。
この駅舎を抜けると、そこには昔ながらの大畑駅のホームが残っています。
ホームの奥には車庫があり、当時利用されていた車庫をそのまま残しています。
車庫の中には、かつて利用されていた車両が保存されています。
ここは、廃線となった当時の車両の一部を動態保存をしている珍しい施設です。
使われなくなった車両を動態保存するのは、非常にお金も手間もかかります。
機械を動く状態で保存することこそ本当の文化遺産の保存方法だと思いますが、そんな施設は多くはありません。
自動車も、飛行機も、みんな博物館で動かない状態で見ても、あまりおもしろくはないですよね。
機械は動いてなんぼだと思っちゃいます。
この施設の運営は大畑線キハ85動態保存会で行っており、4月から10月までの毎月第3日曜日に乗車会を行っています。
運賃は1日中乗り放題で100円です。
今ではなかなか味わえない、天井の扇風機や木の床など、五感で楽しんでください。
運が良ければ、警笛を鳴らさせてもらえたり、車庫の中を見学させてもらえたりします。
通常、乗れるのは国鉄色に塗りなおした車両(キハ22)ですが、車庫には下北交通時代の車両(キハ85)があるので見学できます。
国鉄時代のキハ22を下北交通に引き継いだ際にペイントしなおしたものがキハ85です。
85は、1985年に運転が開始されたことに由来します。では、懐かしいキハ85の車両の写真をどうぞ。
JR下北駅から車で約30分 または
JR下北駅から大畑バスターミナルまで バスで約45分
3.大間線(計画線)
第二次世界大戦中、青函連絡船が攻撃されることやソ連による北海道進出を危惧し、最前線となると想定した大間まで物資や人員を運べるように計画されたのが、大間線です。
この計画により開通まで至ったのが大畑線であり、それより先は物資不足で工事が中断され、工事中のまま終戦を迎えました。
工事中であったことは、大畑から下風呂に至るまでのあちらこちらに、橋脚やトンネルなどの遺構が残っていることからわかります。
2005年4月に、下風呂駅予定地付近の連続アーチ橋がメモリアルロードとして整備され、橋中央には駅待合室をイメージして作られた足湯が設置されています。
足湯に入りながら、津軽海峡や北海道恵山岬を望むことができます。
すっごく見晴らしがいいですよ。
足湯の利用可能期間は、今年は7月~10月中旬です。
★温泉データ
泉質/含硫黄、ナトリウム、カルシウム、塩化物泉
効能/切り傷、打ち身、慢性皮膚病、慢性婦人病、リウマチ、神経痛、疲労回復
JR下北駅より車で約50分 または
JR下北駅より「下風呂」まで バスで約70分
4.動物好きには、北限のサルとイルカウォッチングはいかがでしょう
1. 野猿公苑
北限のサルで一躍有名になったのが、脇野沢のニホンザルです。
世界中を見ても、霊長類の中で一番北に野生で生存していることから、国の天然記念物に指定されています。
しかし、近年では農業被害や、森林伐採やその後の植林による単純林化(ヒバなどを植林する事によって、実のなる木が育たない)による生息域の減少のため、猿の群れを一部捕獲して野猿公園に収容し、飼育・展示されるようになりました。
入場料は200円です。
しかし、車で国道338号線の脇野沢ー大間間を走ると、かなりの確率で野生のニホンザルに出会えるという情報もあります。
もし、野生の猿に出会ったら、決して車から出たり餌をあげたりしないようにしてください。
ゆっくり北限のサルを見に行くなら野猿公苑に、野生の姿をこっそり見に行くならドライブで遭遇チャンスを狙ってみましょう。
ただし、大きな音が出る車やバイクだと逃げてしまうそうですよ。
2. イルカウォッチング
陸奥湾では、5月~6月にイルカを見る事ができます。
カマイルカという種類で、水族館などで多く飼育されているバンドウイルカよりも小型です。
白黒のツートンカラーで、とってもかわいいです。
これが初夏の頃にフェリーからでも大群で見られるということで、なんとイルカウォッチング用の観光船が出ました。
既に今年の運行は終了していますが、将来の旅のプランの候補に入れてみてはどうでしょうか。
観光遊覧船「夢の平成号」は、脇野沢の「むつ市脇野沢流通センター前」の乗り場から出ています。
JR大湊駅より車で約55分 または
JR大湊駅より「脇野沢フェリー前」まで バスで約1時間5分
まだまだ下北半島の魅力について語りつくせていませんが、今回はここで一旦まとめへと入らせていただきます。
まとめ
ポイントを整理してみましょう。
- 温泉好きなら、秘湯の極み「薬研温泉」と古き良き情緒あふれる「下風呂温泉」がオススメ
- ダムマニアなら、日本最古のアーチ型ダム「水源地公園」と、ダムカードをもらいに「川内ダム」に行ってみよう
- 鉄道ヲタなら、大湊線に乗って、大畑駅で駅舎を鑑賞しつつ「キハ22」に乗って、下風呂駅の足湯に浸かりに行く
- 動物好きなら、脇野沢の猿に会いに行ってみましょう。季節が合えば、イルカウォッチングも楽しい
お好みの観光スポットは見つかりましたか?
それぞれ、最適な時期や施設のサービススケジュールがあるので、ご自分が取れる休暇と相談しながら、旅行プランをたててみてください。
これを書きながら、わたしは次回の帰省時にはレンタカーを借りて、
「水源地公園」→「湯野川温泉」→「川内ダム」(道の駅かわうち)に行こうか、
「大畑線」→「大間線」(下風呂の足湯)→「桑畑温泉」に行こうか、悩んでいます。
それでは、みなさんも下北半島の旅へ行ってらっしゃ~い!