鉄道の旅って、観光地が広い範囲に散らばっている地域では面倒だと思っていませんか?
特に地方に行けば行くほど、列車の本数が少なくてアクセスが不便なんですよね。
少ない時間で、できるだけ多くの観光地を効率よく回ろうとすると、ついつい自動車を利用したくなります。
でも、もし時間が十分にあって、便利なバス便と組み合わせて目的地へ行けるとしたら、鉄道の旅も選択肢に入れてみてください。
だって、渋滞にあうこともないし、ドライバーに気を使うこともないし、暑い夏には途中でみんなでビールも飲めちゃいますもの。
わたしは、いつも里帰りの時に八戸で東北新幹線から青い森鉄道に乗り換えるのですが、乗り換え駅の八戸のことって何も知らないし、八戸から出る八戸線にも乗ったことがありませんでした。
八戸駅では、青い森鉄道の向かい側のホームに止まっている久慈行きの八戸線が、気になってしょうがなかったんです。
かつてのNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」のブームのときに話題になった「久慈」行きです。
どうせだから、いっそのこと乗って旅に出よう!と思い立ち、夏休みを利用して行ってみました。
今回の目的地は、あまちゃんブームも落ち着いて震災の傷跡も癒えつつある久慈です。
八戸線に沿って、「鉄子」というほどではないけれど鉄道旅行好きのわたしが、見たり食べたり遊んだり、充実の観光スポットを八戸から久慈行の八戸線に乗った気分で順番にご案内します。
今年の夏休みは、清々しい北東北の海に行ってみませんか?
目次
【八戸】まずは腹ごしらえ。悩んだら八食センターに行ってみよう!
もし、東北新幹線で八戸(はちのへ)駅に着いたときに「何か食べたいけど、どこに行ったらいいかな?」と悩んだら、「八食センター」に行ってみましょう。
実は、八戸駅は八戸の中心街ではありません。
八戸の中心街は「八戸」の2つ先の「本八戸」駅を中心に広がっています。
八戸駅の周辺にも食事ができるところはありますが、「なんか物足りないな」と思ったら八食センターまで足を延ばしてみてください。
八戸駅からはバスが出ています(八食センターから本八戸行きのバスもあるので、思いのほか便利です)。
八食センターは、八戸の新鮮な魚介類、乾物や珍味、お土産など、八戸名物が揃っています。
「観光客用の市場じゃん」という声もありますが、観光客なんですから胸を張って行きましょう。
八食センター内では、買った魚介類をその場で焼いて食べれるお店や、回転寿司、海鮮丼など、安くておいしい地元のものが食べられます。
【本八戸】夕飯を食べるなら、晩酌がてら横丁で大満足!
八戸で宿泊しようとすると、多くのホテルは本八戸駅周辺にあります。
夕飯を食べに外に出ると、たくさんのお店があって悩みます。
わたしも、ホテルにフロントで「どこか美味しくてお値段があまり高くない所、ありませんか?」と聞いてしまいました。
フロントの方は「屋台でもよろしかったら、みろく横町はどうでしょうか」と言って、地図で場所を教えてくださいました。
行ってみると屋台が立ち並びんで「横丁」感いっぱいの雰囲気で、地元の人とカウンターで話をしながら美味しいものをいただけました。
お店の方に「今、コレ食べないと絶対に損!というものを食べたい!」とお願いしたら、八戸の夏は断然「鯖(さば)」だそうです。
実際、お刺身でもお寿司でも美味しいです。
イカの水揚げ量で有名な八戸は、鯖も名物だったんですね。
シメは八戸ラーメンでどうでしょう。
醤油味であっさり、飲んだ後に最適です。
【陸奥湊】2つの朝市「陸奥湊駅前朝市」と「館鼻岸壁朝市」で朝食はいかが?
本八戸から2つ目「陸奥湊(むつみなと)」では、朝市が開催されています。
平日、土曜日に開催される「陸奥湊駅前朝市」と、日曜日に開催される「館鼻岸壁(たてはながんぺき)朝市」が特に大きくてオススメです。
「陸奥湊駅前朝市」は、文字通り駅前通りに小売店や卸店がずらりと並んでいます。
朝市でお刺身やお惣菜を買った後は、八戸市営魚菜小売市場でご飯やみそ汁を購入して組み合わせることによって、自分だけの朝ごはんを作って食べられます。
また、駅から15分ほど歩いた所にある館鼻岸壁では、日本最大級の朝市「館鼻岸壁朝市」が毎週日曜日に開催されています。
300以上のお店が出店され、地元の海の幸、採れたて野菜だけでなく、おでんや豚汁、揚げたてコロッケ、お菓子、焼き立てパンやコーヒーなどもあり、バラエティ豊かな朝ご飯が食べられます。
ちなみに、この日のわたしの朝食は、味噌おでん、豚汁を食べた後に、更に次の写真のようにオシャレに(?)してみました。
こちらは駅から歩くのでちょっと不便ですし、特に空腹の状態で歩くので、みるみる機嫌が悪くなっていきます。
そんな人のために、毎週日曜日には八戸の中心街から朝市の時間にあわせて早朝バスが運行されているので、そちらを利用しても便利です。
どちらも「朝市」ですから、あんまりのんびりしていると次々とお店が撤収してしまいます。
陸奥湊駅前朝市は午前10時まで、館鼻岸壁朝市は午前9時までを目安にしてください。
特に館鼻岸壁朝市は会場が広いので、あんまりのんびり何を食べようか悩んでいると、戻った時にはお店が無かったりしますので注意してください。
なお、陸奥湊駅にはコインロッカーがあるので、旅行用の大きな荷物も押し込んで軽装で朝市に行けますよ。
【鮫】ウミネコだらけの蕪島にGO!・・・と言いたいところだけど、2020年まで待っててね
鮫(さめ)にある蕪島(かぶしま)は、ウミネコ繁殖地として国の天然記念物にもなっています。
蕪島の上には蕪島神社がありますが、残念なことに2015年11月に火災のため全焼してしまいました。
蕪島神社は、1269年創建の弁財天様をまるつ神社です。
江戸時代には蕪島周辺が八戸藩唯一の貿易港・漁港として藩の経済を支えてきた歴史ある地域であり、商売繁盛、漁業安全の守り神として古くから信仰を集めてきました。
現在は再建工事が始まっていますが、ウミネコの繁殖時期は工事をお休みしています。
そのため、完成時期は2019年12月末の予定とのことです。
なお、わたしは行ったことのある家族の猛反対にあって行けませんでした。
理由は、ウミネコさんからの落下物に嫌な思い出がある様子でした。みなさんも、行ったら十分に上からの攻撃に注意してくださいね。
【種差海岸】芝生の海岸って初めて見た! 広々快適ピクニック気分でのんびりしましょう!
八戸線は、八戸駅から鮫駅までは1時間に1本程度はありますが、そこから先が途端に不便になります。
鮫駅から種差海岸駅までは、列車の間を埋めるように「種差(たねさし)海岸遊覧バス」というバス便があります。
もし列車の時間が合わない時には、バスを利用してもいいですね。
バス利用の場合、種差海岸へ行くには「種差海岸インフォーメーションセンター」で降りると便利です(しかも、バス運賃はなんと100円です!)。
波打ち際まで芝生が続く種差海岸は、今はおじさんが芝刈りをしていますが、昔は放牧されていた馬が草を食べていたため、芝刈りは必要無かったそうです。
何か買ってきてのんびり青空の下でピクニック気分の昼食も悪くないのですが、「種差海岸インフォーメーションセンター」内の「海カフェたねさし」では、軽い食事やコーヒーもいただけます。
絶景を眺めながら、のんびりカフェごはんもいいですよ。
健脚の方は、蕪島から種差海岸まで遊歩道(みちのく潮風トレイル)があります。チャレンジしてみてはどうでしょう。
種差海岸駅は、写真の通り小さな無人駅です。コインロッカーもありません。
大きな荷物は「種差海岸インフォーメーションセンター」でお願いすると預かってくれます。
【久慈】あまちゃんブームが去ってもやっぱり行ってみたい聖地巡礼の観光地
あまちゃんブームも去り、今ではすっかり浮ついた雰囲気も無くなりました。
被災した水族館「もぐらんぴあ」も昨年春に再開し、落ち着きを取り戻しています。
是非、ちょっと静かになったと言うか逆に寂しくなってしまった久慈に、今だからこそ行ってみましょう。
市内のあちこちに、あまちゃんで見た風景が散らばっています。ここは、ドラマを思い出して聖地巡礼といきましょう。
久慈駅に着いたら、どこから見て回ればいいか、ちょっと途方にくれます。
落ち着いてしまった久慈には正直、あまり大々的にアレ見ろコレ見て!といった押しつけがましさがあります。
わたしのオススメは、周遊観光バスです。
あまちゃんゆかりのロケ地を巡る場合は「久慈市域周遊観光バス」、小袖海岸ともぐらんびあ(水族館)に行く場合は「ねま~る号」で行きましょう。
どちらも、午前と午後に1便づつあり、半日のツアーです。
わたしが利用したのは、「久慈市域周遊観光バス」です。久慈駅からつりがね洞を見ながら小袖海岸、久慈琥珀博物館、やませ土風館(道の駅)をめぐります。
ガイド付きなので、久慈に行くまであまちゃんを見たことが無かったわたしでも、十分楽しめました。
小袖海岸では1時間弱の自由時間があるので、あまちゃんのオープニングに出て来る防波堤の先の白灯台まで歩けますし、時間が合えば北限の海女さんによる素潜り実演も見られます(写真が傾いちゃってごめんなさい!!)。
ここでは、地域のおばさま方が売っていた「まめぶ汁」に挑戦しました。
ネット上でも賛否両論ありますが、これは美味いです。邪念や先入観と取りはらって食べましょう。
しょっぱい汁に餡入り餅、甘いものとしょっぱいものの組み合わせは、あのハッピーターンに通じるところがあります。
久慈に行ったら、絶対にまめぶ汁に挑戦してください。
バスが到着した場所から山の方に登って行くと、あまちゃんの中で登場する海女さんの「監視小屋」に行くことができます。
震災時には、ここまで津波が来たとガイドさんが言っていました。
上り坂がつらそうですが、がんばって登ってみてもいいですね。
見晴らしは間違いなく絶対にイイです。
久慈琥珀博物館は、普段小市民には縁の無い琥珀をガッツリ見られます。
琥珀の中に虫が閉じ込められているのを見ると、琥珀の中の時間が止まっているような気がします。
飴色の小さなタイムマシンのような感じでしょうか。観光バスでなければ、琥珀採掘体験教室に参加するのも楽しそうです。
ねま~る号を利用して、ここだけ別に来て琥珀を掘るのもいいかもしれません。
出てきた琥珀は、特別なもの以外は持ち帰ることができます。
「もぐらんぴあ」は、元は海岸近くにある久慈国家石油備蓄基地の作業抗を利用して作られた日本初の地下水族館です。
東日本大震災の津波で全壊しましたが、2016年4月23日に再開しました。
お子様連れの場合には、こちらに行ける観光バス「ねま~る」号のコースが楽しいかもしれません。
最後に、八戸線はJRの久慈駅に到着しますが、隣の三陸鉄道の久慈駅に行きましょう。
あまちゃんで何度も登場する「北三陸駅」は三陸鉄道の「久慈駅」がモデルです。
名物「ウニ弁当」は駅内の「三陸リアス亭」で販売しています。
1日20食限定です。
食べたかったら、朝7時の開店にあわせて並びましょう。
土日は早めに並んだ方が良さそうですよ。
八戸線でのアクセスって、正直なところどうなの?
八戸から久慈までの八戸線は、季節にもよりますが次の3種類の列車が走っています。八戸線は、全線電化されていません。
機動車独特の振動と音と匂いが、旅情をかき立ててくれます。
ここまでバスの並行利用についてもご案内しましたが、ロケーションは鉄道を利用した方が断然良いです。
1.普通列車
のんびり、昔ながらの列車です。エアコンなんか付いてないので、夏は窓全開で海風を思いっきり楽しみましょう。
ローカル線の旅を満喫するなら、この列車をオススメします。
2.リゾートうみねこ
土日に1往復、運行しています。
カッコいい上に普通乗車券で乗れるので、お得感満載です。
3両編成で、海側の窓が大きく座席が工夫されているため、海岸線のビューが素晴らしいです。
3.東北レストラン鉄道
外見は正直に言ってパッとしませんが、実は中身がすごいんです。
列車全体がレストランと化し、往路の八戸→久慈はランチコース、復路の久慈→八戸はデザートビッフェの楽しめます。
コンパートメントもあるので、贅沢で特別な旅をするのに最適です。
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運行日を確認の上、旅行会社での予約が必要です(通常の切符とは異なり「びゅう旅行商品」なので、みどりの窓口では予約できません)。
びゅうプラザ、またはびゅう旅行商品を取り扱っている旅行会社に行ってみましょう。
インターネットでは、えきねっとから予約可能。
お値段は、往路のランチコース付きが大人7,200円・小人6,600円、復路のデザートブッフェ付きが大人4,100円・小人3,500円です。コンパートメントはプラス3000円。
往路か復路のどちらかにこの列車を利用すると、すっごくリッチな気分になりますね。
まとめ
「今だから久慈に行こう! 八戸線で行くローカル線の旅」のポイントを整理してみましょう。
- 八戸に着いたら、「八食センター」で腹ごしらえ
- 本八戸で晩ご飯なら、「横町」を散策してはしごしちゃいましょう
- 陸奥湊にある八戸の2大朝市でシッカリ朝ご飯を食べて、1日のスタートを切りましょう
- 鮫から歩いて蕪島に行くなら、2020年に蕪島神社が再建されてからがgood!
- 種差海岸は、絶景をながめてのんびり散歩するのに最適
- 久慈に着いたら、あまちゃん聖地巡礼には観光バスを利用したミニトリップが便利
- プランや好みにあわせて乗りたい列車をチョイスして!
さて、久慈で遊んだのはいいけど、帰りの列車を予約しているわけではないし、どうしようかなぁ、と思っていませんか?
八戸線でのんびり帰ってきてもいいし、三陸鉄道に乗って更にその先の宮古方面に行ってみてもいいですね。
次回のわたしのプランは、①うに弁当を朝一番に並んで買う、②三陸鉄道に乗りながら食べよう! ③宮古で海の幸を更にわんさか食べる、です。
もし、三陸鉄道でうに弁当をがっついて食べている奴に会ったら、わたしだと思って声をかけてくださいね。
では、今年の夏は八戸線でお会いましょう!